Home > 慰霊大祭・イベント > 第50回ニューギニア方面戦没者慰霊大祭報告(2018年)

慰霊大祭・イベント

第50回ニューギニア方面戦没者慰霊大祭報告 (平成30年7月29日開催)

長野県ニューギニア会主催、第50回ニューギニア方面戦没者慰霊大祭は、
7月29日松本市の県護国神社にて厳粛に執り行われた。

今年は50回の節目となり、本殿での式典に合わせて記念講演会と写真展「南十字星の島・ニューギニア」を企画した。会場には遺族会員はじめ、国会、県・市町村議会議員の代表、市町村長など120名が参列した。

式典は正午の大太鼓を合図に始まり、参加者全員で黙とう、国歌斉唱、修祓と続き、奥谷宮司が祝詞を奏上。ニューギニア会の本田昌彦会長は、「半世紀にわたる節目の慰霊大祭を迎えることができたことに対し心から感謝したい。昭和44年、生還された戦友の皆様の発意により発足した会は、歴代役員・会員のご尽力により順調な歩みを続けてこられた。先の大戦においてニューギニア方面では15万人もの尊い命が失われた。昭和52年から実施している現地への慰霊巡拝の旅も今年で39回目となる。今後、会の運営主体を次世代の孫、曾孫に如何に引き継ぐかが課題であり、戦争の悲劇を後世に伝え、平和な社会の実現に努めて参ります」と、祭文を奏上した。次いで、菅谷松本市長、横田久県遺族会長が慰霊の言葉をのべた。

引き続いて、73年前、ニューギニア戦線から生還して、今年103歳になる東部ニューギニア戦友・遺族会の堀江正夫会長の特別講話があり、最後に、恒例となっている「ふるさと」を斉唱して式典を終了した。

記念事業として美鈴々会館で開いた写真展では、現地慰霊巡拝で会員が撮影した写真51点を展示。ニューギニアの風土、現地人の暮らしや文化、小学校や病院への親善訪問、遺骨収集作業などの作品のほか、密林内で朽ち果てる日本軍の戦闘機や野戦高射砲の写真などは、若い世代の参加者の注目を集めていた。

記念講演では、皇學館大学神道学科の中山郁教授が「東部ニューギニア慰霊の過去・現在・未来」と題して講演した。中山教授はこの中で海外戦没者の遺骨収集事業の経過や、遺族関係者慰霊の現状と課題などについて講演。戦没者への慰霊と顕彰を支える担い手として、「長野県ニューギニア会は、戦友から遺児への移行を行えた貴重な例である」と指摘。ニューギニアとの新たな絆の構築、今後の慰霊巡拝の在り方について、「現地との交流事業の中で、死者への祈りの機会を設けていくことがカギとなる」として、「先の大戦におけるニューギニア戦は、満蒙開拓団の悲劇などとともに、長野県民が経験した最も悲惨な戦時体験の場」と位置づけた。
「これからも行政の支援や民間企業、NGOなどと協働して慰霊巡拝を継承して欲しい」と提言。1時間に及ぶ講演を終了した。

「南十字星の島・ニューギニア写真展」現地の写真に見入る参加者
「南十字星の島・ニューギニア写真展」現地の写真に見入る参加者
「ニューギニア慰霊の過去・現在・未来」について講演する中山郁教授 いづれも長野県護国神社内 美鈴々会館にて
「ニューギニア慰霊の過去・現在・未来」について講演する中山郁教授 いづれも長野県護国神社内 美鈴々会館にて
写真をクリックすると大きい画像でご覧いただけます。